満潮時、まるで青い海原に浮かんであるかのように聳える朱塗りの大鳥居と社殿。世界遺産としても著名な厳島神社は、自然と建築美が融合した唯一無二の空間だ。この壮大な海上社殿の構想を現実のものとしたのが、平安時代末期に権勢を極めた武将、平清盛である。
清盛は自らの勢力拡大と航海の安全を願い、社殿を現在のような豪壮華麗な姿へと造営した。瀬戸内海の交易ルートを押さえる戦略的拠点としての意義を持ちながらも、そこには一門の繁栄をひたすらに神へ祈る切実な情熱が注ぎ込まれていた。潮の満ち引きによってその表情を刻一刻と変える社殿の佇まいは、数百年を経た今も訪れる者の心を捉えて離さない。