スタジオジブリが世に送り出した数々の作品の中でも、本作はファンタジーアニメの金字塔として君臨する。宮崎駿監督が構築した八百万(やおよろず)の神々が集う湯屋の世界は、日本人の精神構造に深く根ざしたアニミズムを鮮やかに映像化したものだ。
川の神、腐れ神、そして大根の神様であるお白様。日常の身近な自然や食物に魂が宿るという感覚は、海外のアニメーション映画産業においても極めて斬新な表現として受け止められた。神々が疲れを癒やしにやってくる温泉街という突拍子もない設定が、圧倒的な作画クオリティとストーリーテリングによって唯一無二の現実味を獲得している。