ここで一度、これまでの経緯解説を整理しておこう。福岡・博多の歓楽街、中州の中心近くに位置した大洋映画劇場は、戦後まもない時代から約80年にわたり地域のエンターテインメントを支え続けてきた。しかし、建物の老朽化や耐震上の課題、さらには多様化する現代の鑑賞スタイルへの対応など、複合的な要因が重なり、多くの人々に惜しまれながらも一つの歴史に区切りをつけた。
営業終了後も「街の記憶や文化的な価値をいかに遺すか」という課題は残り続けた。建築物としての価値もさることながら、市民の思い出が詰まった場所だけに、単純な解体作業にとどまらない慎重なアプローチが求められていたのである。