17歳で単身の上京を果たし、銀座の伝説的なシャンソン喫茶「銀巴里」の専属歌手となった美輪明宏(当時は丸山明宏)。クラシックの基礎に裏打ちされた類まれな歌唱力もさることながら、その中性的な美貌は当時のカルチャーシーンに巨大な衝撃を与えた。そこに現れたのが、昭和を代表する文豪・三島由紀夫である。
三島は一目で美輪の虜となり、「天から降ってきたような美少年」と絶賛。「天上界の美」とまで評された美輪と三島の交流は、単なる庇護者と若手歌手の関係を超え、互いの美学をぶつけ合う高尚な対話へと発展していく。三島が自作の戯曲を美輪に託したのは、彼の中に宿る圧倒的な「美の魔力」を誰よりも信じていたからにほかならない。