シリーズ誕生の背景には、出版業界の常識を覆す大胆な発想と熱意が存在した。かつてキヨノサチコ氏が描いた最初の原案は、実は猫ではなく「白い子狐」を主人公にした物語だったという。しかし、編集者との試行錯誤の末、より日常的で感情表現が豊かな白猫へとキャラクターが再構築された。
キヨノ氏が一貫してこだわったのは、「徹底して子どもの目線に立ち切ること」だった。大人が望む「お行儀の良い子ども像」を描くのではなく、葛藤し、泣き、笑う生の感情をそのまま肯定する。偕成社から世に送り出された作品群には、子どもをひとりの独立した人間として尊重する温かな眼差しが貫かれている。