身内にがんが多いと、誰しも「自分も遺伝しているのではないか」と身構えてしまうものです。しかし、がん全体のなかで、親から子へ特定の遺伝子変異が受け継がれることで発症する「遺伝性腫瘍」は、全体の約5〜10%程度に過ぎません。残りの多くは、加齢や喫煙、食生活といった生活習慣、あるいはピロリ菌や肝炎ウイルスなどの感染症が原因で発生する「孤発性がん」です。
また、同じ家系内でがんが多発する場合でも、遺伝子の変異ではなく「塩分の多い食事を好む」「家族全員が喫煙者である」といった共通の生活環境が原因であるケースも多々あります。これを「家族性腫瘍(家族集積性がん)」と呼び、遺伝性とは区別して考えます。つまり、親族にがんが多いからといって、必ずしも遺伝的な呪縛に縛られているわけではないのです。