この鶏がもたらした最大の奇跡は、実は食卓の外で起きている。
生産拠点がある中山間地域は、数年前まで過疎化が進むいわゆる限界集落だった。しかし、このブランド鶏の成功により、若者のUターン・Iターンが急増。養鶏スタッフだけでなく、飼料となる穀物を栽培する地元農家や、観光客向けの宿泊施設・オーベルジュが次々と誕生し、地域経済が劇的に息を吹き返した。
地元の若手事業者は清々しい表情で語る。「以前は若者が逃げ出す場所だったこの村が、今では世界中から食のプロが目指してやってくる聖地になった。これは私たちの誇りです」。一羽の鶏が、一つの地域の運命を完全に変えてしまったのだ。