首都直下地震における最新の被害想定は、かつての予測を覆す緻密さで算定されている。東京大学地震研究所の名誉教授であり防災の権威である平田直氏らを交えた検討会や内閣府防災担当の発表によると、都心南部直下を震源とする大規模地震が発生した場合、最悪のシナリオでは死者が数千人規模、木造住宅密集地域での大規模火災によって焼失家屋が数万棟に及ぶとされる。
地震学の進歩によって明確になったのは、単に「揺れ」そのものによる建物の倒壊リスクだけでなく、その後に発生する火災旋風やインフラ断絶、通電火災の恐怖だ。気象庁が蓄積した過去の地震動データと都市構造を組み合わせた最新シミュレーションによると、発災初期の数秒から数分間における適切な頭部保護と火元確認が、個人の生存率を約8割以上高めることが判明している。