徳島県の地理的特徴は、北側に阿讃山脈、南側に四国山地を配し、その間を東西に吉野川が流れるという構造にある。この複雑な地形が、独特の「局地気象」を生み出す巨大な装置となっている。近年、海水温の上昇に伴って紀伊水道から流れ込む水蒸気量が激増しており、わずかな風向きの変化で特定の地域に集中豪雨が襲いかかる現象が増加した。
「昔は『雲の動きを見れば雨が降るかどうかが分かった』ものですが、最近の雲は立ち上がりが異常に早い」と、吉野川市で農業を営む70代の男性は語る。15分前まで快晴だった空が突然暗転し、土砂降りになる場面も珍しくない。吉野川上流のダム群の貯留量や放水量も、かつてない高頻度でコントロールされている状況だ。