金曜日の高揚感を表現する言葉は、日本独自のものだけではありません。英語圏には古くから「TGIF(Thank God It's Friday! / 神様ありがとう、今日は金曜日だ!)」という極めてポピュラーな慣用表現が存在します。宗教的背景の違いこそあれど、「辛い労働の平日に別れを告げ、自由な週末を迎える喜び」は万国共通の感情であり、花金はまさに日本版TGIFと呼ぶべき存在です。
一方で、金曜日を巡る近年の日本の試みとして記憶に新しいのが、2017年に官民一体で導入された「プレミアムフライデー(月末金曜15時退社奨励)」です。消費喚起と働き方改革を旗印に大々的に打ち出されたものの、月末の繁忙期に早期退社できる企業はごく一部に限られ、世論の生活実態と乖離していたことから自然消滅に近い形となりました。
トップダウンの施策であったプレミアムフライデーが定着しなかったのに対し、ボトムアップで労働者の実感から生まれた「花金」が40年近く愛され続けている事実は、カルチャーの生命力がどこに宿るのかを象徴する興味深い比較例と言えます。