こうした深刻な事態に対し、保護の最前線では新たな取り組みが進んでいる。一般財団法人奈良の鹿愛護会は、傷ついた個体の24時間救護体制を強化するとともに、発情期の雄による角突き事故を防ぐための「角きり」や、出産期の母子を一時的に保護する「鹿苑(ろくえん)」の運営を徹底している。
さらに、多言語対応のガイド看板設置やデジタルデバイスを活用したマナー啓発活動も本格化。単なる観光資源として消費するのではなく、都市に隣接する貴重な自然生態系として未来へ継承するための取り組みが、地域住民と行政の手で着実に進められている。