精神的負荷と発がんリスクの関連を調べるため、国内外で数十万人規模を対象とした追跡調査(コホート研究)が実施されてきました。その中でも代表的な指標となるのが、国立がん研究センター コホート研究(JPHC研究)の長期追跡データです。
同研究グループは、40歳から69歳までの男女約10万人を10年以上にわたり追跡調査し、日常生活における自覚的ストレスレベルと、その後の全がん発症リスクとの関連を詳細に分析しました。
その結果、ストレスレベルが「高い」と回答したグループと「低い」と回答したグループの間で、全がん発症リスクに統計的な有意差は認められませんでした。胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなどの主要部位においても、ストレスの高低のみを独立変数とした発がんリスクの上昇は確認されていません。
欧米で行われた14万人規模のプール解析(Lancet誌掲載論文など)においても同様の結果が示されており、疫学的な見地からは「ストレスが直接がんを引き起こす主要因とはいえない」というのが医学界の共通見解です。