「この薬は強いから早く治る」という誤解は、時に治療を長引かせる原因になる。三環系抗うつ薬と呼ばれる古い世代の薬は、確かに強力な抗うつ作用を持つ。だが、口の渇き、便秘、尿閉、さらには心臓への負担といった重い副作用がネックとなり、現代では第一選択薬から外れるケースがほとんどだ。
つまり、強すぎる薬は諸刃の剣なのだ。最新の治療ガイドラインでは、効果がマイルドであっても、日常生活に支障をきたさないレベルの副作用に抑えられる薬からスタートすることが推奨されている。身体への負担を最小限に抑えつつ、脳内の神経伝達物質のバランスを整えていくアプローチが、結果的に最短の回復ルートとなる。