大相撲の金銭事情には、外部から見えにくいために生じる代表的な誤解が3つ存在する。
誤解1:土俵上の熨斗袋には小切手が入っている?
「あんな大金を土俵に持ち込むはずがない、目録や小切手だろう」という推測が散見されるが、すべて正真正銘のピン札(新券)である。毎日、相撲協会の出納担当者が銀行から何千万円もの新札を取り寄せ、取組直前に呼び出しや関係者が手作業で熨斗袋へ3万円ずつ詰め込んでいる。現金の重みを力士の掌に直に伝えることこそが、江戸時代から続く神事・興行としての美学だからである。
誤解2:三賞は誰でも条件を満たせばもらえる?
三賞は「勝ち越した(8勝以上)平幕力士」に資格があるが、どれほど好成績でも選考委員会の記者投票で過半数を得られなければ「該当者なし」となる。千秋楽の取組結果次第で「勝てば受賞、負ければ消滅」という厳しい条件付き受賞となるケースが大半であり、土俵際のプレッシャーは額面200万円の重みと直結している。
誤解3:優勝決定戦で勝っても賞金は増える?
本割を終えて同星で並び、優勝決定戦にもつれ込んだ場合でも、幕内最高優勝賞金が増額されることはない。1000万円を山分けするのではなく、決定戦を制した力士が総取りする。さらに、優勝決定戦には公式な懸賞金が一切懸けられないルールとなっているため、力士は純粋に賜盃の栄誉と1000万円の権利のみを懸けて土俵に上がる。