物語の軸にあるのは、殺人事件の容疑者として死刑判決を受けた鏑木の隠された「真実」だ。彼は本当に凶悪な殺人鬼なのか。それとも無実の罪を着せられた犠牲者なのか。カメラは彼を執拗に追いかけながらも、決してその内心を安易に明かそうとはしない。
彼と遭遇する人々——信じようとする者、疑いの目を向ける者、そして彼を追う警察。視点が目まぐるしく交錯する中で、観客は多角的なイメージの断片を拾い集めることを余儀なくされる。真実への手がかりが一つ開かれるたびに、新たな謎が顔を覗かせるスリリングな構造。息を呑む展開の連続に、1秒たりとも目が離せない。