寺川は古くから恵みの水をもたらす一方で、大雨のたびに暴れ川へと姿を変えた。江戸時代から明治期にかけて、堤防の破決を防ぎ流域の安寧を願うために建立されたのが「水除け地蔵」や「川端地蔵」と呼ばれる石仏群だ。
「このお地蔵様たちは、ただの信仰対象ではありません。水害の歴史と、自然への畏怖を現代に伝える道標なのです」
地元で歴史の語り部を務める元高校教師の男性(72)は、石仏の足元を撫でながらそう語る。石座に刻まれたかすかな文字には、過去の洪水の日付や復興への祈りが克明に記されている。近年多発する異常気象の中で、過去の災害史を直感的に伝える「防災の生きた教材」としても重宝されている。