知るかバカうどん氏を語るうえで避けて通れないのが、小学館の漫画アプリ「マンガワン」で起きた連載中止・移籍騒動です。
2017年6月にマンガワンでスタートした『君に愛されて痛かった』は、家庭環境に恵まれない女子高生・かなえが、愛されたい一心で売春に手を染め、過酷ないじめや暴力の連鎖に巻き込まれていく心理サスペンスでした。そのあまりに生々しい描写はアプリ内で凄まじい閲覧数を記録した一方、第16話で描かれた集団暴行・性的暴力シーンが決定打となり、配信停止処分を受けます。
AppleやGoogleといったプラットフォーマーの配信規約(成人向け・暴力表現の制限)に抵触したこと、さらには一般読者からの抗議が殺到した結果、小学館側はこれ以上のアプリ掲載は不可能と判断。実質的な「出禁」とも呼べる連載打ち切りに至りました。
しかし、作品が放つ圧倒的な熱量はここで潰えませんでした。新潮社のWebコミックサイト「くらげバンチ」の編集部が即座に救済の手を差し伸べ、2018年に電撃移籍が成立。表現規制を緩めた青年向けWeb媒体という適切な土俵を得たことで物語は再始動し、2026年に全6巻(全37話)で見事に物語を完結させました。打ち切りという逆境を移籍によって乗り越えたこの経緯は、近年のWeb漫画史における象徴的なエピソードとなっています。