ガスや水道が最低限通っているとはいえ、都市部のマンションとは比較にならないほど不便な山暮らしだ。冬になれば凍えるような寒さが襲い、薪ストーブの火を絶やさないことが死活問題となる。自ら仕留めたジビエを解体し、限られた資源を分け合う日々。東出が選んだこの地で、夫婦は静かに、しかし確実に根を張っている。
近隣住民との関係も極めて良好だという。かつて週刊誌のカメラが執拗に追いかけた「お騒がせ俳優」の姿はそこにはない。あるのは、泥にまみれて軽トラックを運転し、近所のお年寄りと談笑する一人の男の、ごくありふれた日常だ。