日本の歯科矯正分野における中核組織である日本矯正歯科学会も、SNSで広がる素人主導の矯正行為や安全基準を無視した自力手法に対し、重ねて強い注意喚起を発している。学会が特に深刻な問題として捉えているのが、目に見えないところで静かに進行する歯根吸収だ。
歯根吸収とは、想定外の方向や強すぎる圧力が加わることで、歯の根っこ(歯根)が徐々に溶けて短くなってしまう病態を指す。一度縮んでしまった歯根は、最新の医療技術をもってしても元の長さに戻すことはできない。土台を失った歯はぐらつき始め、最終的には噛み合わせとしての機能を失う。美しい口元を求めた結果、歯そのものを失うという本末転倒な事態が起きている。