作品が世界で評価される一方で、足元にある制作現場の課題から目を背けることはできない。カンヌ国際映画祭をはじめ世界舞台で高い評価を受け続ける是枝裕和監督は、日本の映像制作業界における労働環境の改善や、若いクリエイターの育成支援を強く訴え続けている。
長年指摘されてきた長時間労働や不安定な雇用体系、スタッフへの適切な対価の支払いは、持続可能なエンタメ産業を築くうえで避けて通れないテーマだ。是枝裕和監督らが中心となって進める日本版映画制作ガイドラインの策定や、現場を支える組織の設立に向けた動きは、作品の質だけでなく「現場の人間が健全に働ける環境」を作ることこそが、結果として世界に通用する名作を生むという確信に基づいている。