2009年9月26日、日本武道館で開催された『K-1 WORLD GP 2009 IN SEOUL FINAL16』において、長年のライバルであったジェロム・レ・バンナと対戦。判定負けを喫した直後、武蔵はリング上で現役引退を表明しました。
引退理由の真相について、当時のインタビューや後年の手記において武蔵は、単なる肉体的な衰えだけでなく、「精神的な重責からの解放」と「蓄積ダメージに対する危機管理」を明かしています。
当時、K-1ヘビー級の地上波生中継において、武蔵は常に「唯一勝ち残るべき日本人エース」として国民的な期待とプレッシャーを一身に背負わされていました。どれほど強豪を倒しても厳しい目を向けられ、負ければ猛烈な批判に晒される極限状態のなか、約15年間にわたりトップ戦線を維持し続けた精神的疲労は想像を絶するものがありました。
さらに、100kgを超える巨漢たちの打撃を浴び続けたことによる頭部や首へのダメージ蓄積は深刻でした。引退後の健全な生活と後進へのバトンタッチを見据え、自らの意志でグローブを置く決断を下したのです。