CM関節症に関する誤解として多いのが「サポーターやテーピングをしていれば進行しない」というものだ。確かに、CM関節保護用の軟性装具や固めの包帯を8の字型に巻く方法は、日本整形外科学会が推奨する保存療法の基本である。しかし、これらは痛みの緩和と関節への負荷軽減が目的であり、軟骨を再生させるものではない。装具を外せば再び痛みが生じるのは当然で、根本的な進行を止める効果は限定的だ。
もう一つの盲点は、「手術をしたら親指が動かなくなる」という恐怖だ。確かに、古い術式である関節固定術は痛みは取れるが可動域を失う。しかし、2026年現在主流となっている大菱形骨切除+靱帯再建腱挿入術(関節形成術)や、関節鏡視下での滑膜切除・骨棘切除など、可動域を温存しながら除痛を図る方法が発展している。最新治療としては、人工関節置換術や、より侵襲の少ない鏡視下手術の適応拡大が進んでおり、手の外科を専門とする医師の間でも術式の選択肢は広がり続けている。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
手の外科専門医への受診を強くおすすめしたいのは、以下の条件に当てはまる人だ。①親指の付け根を押すと鋭い痛みがあり、物をつまむ動作で力が入らない、②40代以上で女性、③更年期や出産後で手の関節が緩いと感じる、④ペットボトルの蓋やドアノブを回すと親指の付け根が痛む、⑤レントゲンで骨棘や亜脱臼を指摘された。このような場合は、放置せずに関節リウマチや痛風との鑑別も含めて、専門医の診断を受けることが近道だ。
一方で、手術に慎重になるべき人もいる。具体的には、重篤な内科疾患(心疾患や重度の糖尿病など)があり麻酔リスクが高い人、術後のリハビリに時間を割けない人、喫煙習慣があり血流障害のリスクが高い人だ。手術そのものは日帰りまたは短期入院が増えているが、術後の患部外固定と段階的なリハビリが不可欠である。術後のリハビリでは、作業療法士による可動域訓練や筋力強化、日常生活動作の再学習が行われ、復帰までに数ヶ月を要することも理解しておく必要がある。