ネット相談窓口や知恵袋、SNSの告白ポストを検証すると、被害者が共通して陥る「心理的なパニック状態」が浮き彫りになります。
「動画の再生ボタンを押した瞬間、シャッター音が鳴って『お客様のIPアドレスと端末情報を登録しました。24時間以内に98,000円を支払わなければ法的措置を取ります』という画面が全画面に固定された。自分のスマホの契約者名までバレているのではないかと恐怖で手が震えた」(20代男性・知恵袋への相談手記より)
このような画面に表示される「端末のIPアドレス」「使用ブラウザ」「OSの種類」「おおよその地域」は、ウェブサイトにアクセスした際にブラウザがサーバーへ自動的に送信する一般的な通信仕様(HTTPヘッダー情報)に過ぎません。これらから個人名、電話番号、住所といった個人情報が特定されることは技術的にあり得ない構造になっています。
詐欺グループは、利用者の「やましいコンテンツを見ていたため他人に相談できない」という羞恥心と、「期限内に支払わなければ大変なことになる」という焦燥感を巧みに利用します。心理学でいう「サンクコスト効果」と「損失回避バイアス」を突いた古典的かつ強力なソーシャルエンジニアリングの手法です。