皮膚病変が良性か悪性かをスクリーニングする際、世界的な標準指標として定着しているのが「ABCDEルール」だ。1980年代にニューヨーク大学の皮膚科医ロバート・フリードマン博士らが提唱して以来、改良を重ねながら臨床の最前線で活用され続けている。現在でもセルフチェックの最も信頼性の高い羅針盤であることに変わりはない。
【A:Asymmetry(左右非対称性)】
病変の中心に仮想の線を引き、二つに折ったときに形が重なり合わない。良性の黒子は概ね円形や楕円形で対称だが、悪性の場合は不規則に歪む。
【B:Border(辺縁の不正・ギザギザ)】
正常な組織との境界線がぼやけている、あるいはノコギリの刃のようにギザギザと切れ込んでいる。色素が周囲の皮膚へ染み出すように広がっている状態は要注意だ。
【C:Color(色調の不均一・多彩性)】
一様な茶色や黒ではなく、濃淡が混ざり合っている。ジェットブラック、濃茶、赤、白、時には青みがかった灰白色など、複数の色彩がモザイク状に入り乱れる。
【D:Diameter(直径の拡大)】
病変の長径が6ミリメートル以上(鉛筆の消しゴムサイズ)に達している場合、悪性を疑う契機となる。ただし、6ミリ以下であっても他の項目に該当する場合は警戒を怠ってはならない。
【E:Evolving(外観や症状の経時的変化)】
近年最も重視されるのがこの「進化・変化」の要素だ。短期間で急激に大きくなる、色が濃くなる、表面が隆起する、あるいは出血や潰瘍化を伴うといった動的な変化は、細胞の異常増殖を強く示唆している。