ネット上で「買ってはいけない歯磨き粉」として槍玉に挙げられる製品には、共通する特徴があります。それは強い爽快感や過剰な泡立ち、即効性のある着色汚れ除去を売りにした大衆向け市販品です。マーケティング主導で作られた製品と、予防歯科の現場が求める理想との間に大きなギャップが存在していることが、こうしたランキング記事が量産される根本的な背景にあります。
特に問題視されるのが「泡立ちが良すぎることで、数十秒磨いただけで十分に清掃できたと錯覚してしまう心理的トラップ」です。口腔ケアにおいて最も重要なのは歯ブラシの毛先を的確に当てる物理的プラークコントロールですが、過剰な泡と香料はその達成を妨げる要因になります。また、白さを強調する製品の中には、清掃剤(研磨剤)の粒子が粗く、長期使用によって歯の表面を微小に傷つけてしまうケースが報告されています。
さらに、かつて抗菌成分として多用された「トリクロサン」のように、海外の規制動向を受けて国内でも見直しが進んだ経緯があります。アメリカ食品医薬品局(FDA)が2016年に抗菌石鹸等での使用を禁止したことを受け、日本国内でも安全性の再評価が進み、現在では大手メーカーの主要製品からほぼ姿を消しました。過去の安全基準で作られた製品の記憶や海外発の情報が混ざり合い、消費者の不安を煽る形でランキングが一人歩きしている側面も見逃せません。