ビジネスの第一線で活躍したシニア層にとって、特任教授は魅力的なセカンドキャリアに見える。自身の経験を若い世代に伝え、社会に還元できる機会だからだ。実際に、大手電機メーカーの技術者や金融機関の幹部が、実務家教員として大学に新しい風を吹き込んでいる成功例は多い。
しかし、安易な気持ちで飛び込むと痛い目を見る。大学という組織は、民間企業とは比較にならないほど保守的で、独特の意思決定プロセスを持つ。事務手続きの煩雑さや、学内の派閥争いに巻き込まれ、精神的に疲弊してしまう実務家出身者は少なくない。「先生」と呼ばれる響きに憧れて転職したものの、実態はただの雑務処理係だったという嘆きも聞こえてくる。