一般的な風邪ウイルスが直接人体を破壊し尽くすわけではない。では、なぜ死に至るのか。その意外な原因の筆頭に挙げられるのが「肺炎」への進展だ。急性上気道感染症によって鼻や喉の気道粘膜がダメージを受けると、本来なら侵入を防げるはずの肺炎球菌や黄色ブドウ球菌といった細菌が、防御を失った肺の深部へ容易に侵入を開始する。
さらに恐ろしいのは、持病の急速な悪化と全身性の炎症反応である。心臓疾患や糖尿病を患う患者の場合、感染に伴う高熱や全身の負荷が循環器系に壊滅的なダメージを与える。結果として心不全や敗血症を誘発し、多臓器不全へと追い込まれる悪循環が完成するのだ。市販の解熱鎮痛剤を飲んで無理に仕事を続けても、体内で密かに進行する破壊工作を止めることなど到底できない。