企業再建の決定打となったのが、水なしで服用できる「龍角散ダイレクト」と、日本初の服薬補助用オブラート技術を応用した「らくらく服薬ゼリー」の開発だ。従来のカプセルや錠剤、散剤といった枠組みに縛られていたOTC医薬品の常識を打破する発想は、藤井氏自身の徹底した現場観察から生まれた。
「薬を飲み込むのが困難な高齢者や子供が、ストレスなく服用できる方法はないか」——このシンプルな問いが生んだ「らくらく服薬ゼリー」は、介護現場や小児科から絶大な支持を獲得。さらに、スティック包装で携帯性を飛躍的に高めた「龍角散ダイレクト」は、若年層や喉を使うプロフェッショナル、さらにはインバウンド需要を一気に取り込み、爆発的なヒットを記録した。既存の効能訴求から「服薬体験の革新」へと舵を切ったことが、V字回復の起爆剤となったのだ。