平日の夜に求められているのは、手の込んだごちそうではない。時計の針が15分進むあいだに、温かく栄養価の高い主菜と副菜が揃うスピード感だ。いま注目を集めているのは、フライパンひとつで主菜と温野菜を同時に蒸し上げる「ワンパン高密度調理」である。鶏むね肉の削ぎ切りにキノコとブロッコリーを重ね、酒と塩麹を回しかけて強火で一気に蒸し上げる。加熱時間はわずか7分。肉のパサつきを防ぎつつ、野菜のビタミン流出を最小限に抑えた時短料理の決定打だ。
さらに見逃せないのが、冷蔵庫の端材を一掃する「食材ロスゼロ」のテクニックである。長ネギの青い部分、大根やニンジンの皮、ブロッコリーの芯を細かく刻み、豚ひき肉と少量の味噌、すりおろし生姜とともに炒め合わせるだけで、極上の万能肉味噌が完成する。野菜の皮付近に凝縮されたポリフェノールや食物繊維を余すことなく摂取できる上、生ゴミは劇的に減る。
意外な食材の掛け合わせも食卓を新鮮に変える。サバ水煮缶に刻んだリンゴとヨーグルト、少量の醤油を和えるだけの即席小鉢や、アボカドと納豆に海苔の佃煮を合わせた和洋折衷のディップなど、加熱不要の驚きの組み合わせが、日々の献立のマンネリを鮮やかに打ち破ってくれる。