一般的なパブリックイメージでは「シングルヒットの多いポップスター」と捉えられがちですが、久保田利伸の真髄はオリジナルアルバムの深い世界観と、コアな音楽ファンを唸らせる隠れた名曲たちにこそ宿っています。
アルバム代表作で聴くブラックミュージックの深化
まず押さえるべきは、1989年にリリースされミリオンセラーを記録したベストアルバム『THE BADDEST』シリーズです。しかし、真のグルーヴを体感するならば、以下のオリジナル名盤を聴き逃す手はありません。
- 『GROOVIN'』(1987年):初期の瑞々しいエネルギーと洗練されたファンクネスが同居する傑作。
- 『Such A Funky Thang!』(1988年):2枚組で構成され、全編にわたって圧倒的な演奏力とブラックミュージックへの探求心が炸裂した最高傑作の一つ。
- 『BONGA WANGA』(1990年):アフリカン・ビートやワールドミュージックを取り入れ、音楽的多様性を一気に拡張した意欲作。
- 『PARALLEL WORLD II KUBOSSA』(1997年):ボサノヴァとR&Bを融合させた、大人のための極上チルアウト・アルバム。
音楽通が絶賛する「隠れた名曲」
ライブの定番でありながらベスト盤に滅多に入らない「北風と太陽」や、極上のスロウジャムである「6 to 8」、都会の夜の気だるさを描いた「夜に抱かれて〜A Night in Afro Blue〜」などは、ファンの間でも「知る人ぞ知る神曲」として熱烈に支持されています。
豪華アーティストとのコラボレーションとCMソングの歴史
久保田利伸のキャリアを語る上で欠かせないのが、ジャンルや国境を超えたコラボレーションです。スティーヴィー・ワンダーとの歴史的セッションをはじめ、KREVA、MISIA、JUJUといった後進のトップランナーたちとの共演作は、常にJ-R&Bシーンの指針となってきました。また、キリン「生茶」やフォルクスワーゲン、カシオなど、数々の企業CMに提供された楽曲群は、わずか15秒〜30秒の間に強烈なグルーヴを刻み込む職人技が光っています。