閉店の「蛍の光」は実は別曲?三越が生んだ歴史と退店の心理効果を解剖

閉店の「蛍の光」は実は別曲?三越が生んだ歴史と退店の心理効果を解剖

閉店の「蛍の光」は実は別曲?三越が生んだ歴史と退店の心理効果を解剖の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

商業施設が閉店時間の間際にあえて音楽を流す最大の狙いは、来店客の自律的な退店行動を誘発することにあります。店員が直接メガホンや肉声で「本日の営業は終了しました。速やかに退店してください」と告げた場合、客の心理には強い拒絶感やプライドの毀損が生じます。心理学で言う「心理的リアクタンス(行動の自由を制限された際に生じる猛烈な反発心)」が発動し、クレームやトラブルへと発展しかねません。

そこで機能するのが、音楽を用いたアンビエントな行動誘導です。店舗BGMがもたらす心理的プロセスには、主に以下の3つの段階が存在します。

第一に「条件づけられた連想記憶の覚醒」です。日本人は幼少期から「学校の放課後=下校の音楽」「卒業=別れの曲」という音響体験を幾度となく刷り込まれています。哀愁を帯びたメロディが耳に入った瞬間、大脳皮質を介さず扁桃体や海馬レベルで「物事の終わり」「儀礼の終了」が意識され、無意識のうちに財布を出し、レジへ向かう行動が促されます。

第二に「社会的証明(同調効果)の連鎖」です。フロア全体に閉店音楽が満ちると、敏感な数名の顧客がまず歩行速度を上げ、レジへと並び始めます。周囲の客はその光景を目にすることで「自分だけが残されたら気まずい」「店員に迷惑をかけてしまう」という日本特有の同調圧力を感じ取り、結果としてフロア全体から潮が引くように客足が引いていきます。

第三に「ワルツ特有のテンポによるリセット効果」です。1分間に約80〜90拍というゆったりとした3拍子のリズムは、日中の購買意欲を煽るアップテンポなBGMとは対照的に、興奮状態を沈静化させ、探索行動(店内を巡る行為)を自然に中断させる音響設計が施されています。

山本 拓海
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山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。