沢田研二の「現在の姿」が改めて脚光を浴びた大きなきっかけの一つに、主演映画『土を喰らう十二ヵ月』がある。水上勉のエッセイを原案とした同作で、彼は長野の山里で静かに暮らす作家・ツトム役を演じ、各界から絶賛を浴びた。
スクリーンに映し出されたのは、畑を耕し、旬の食材を料理し、死生観と向き合う一人の人間のリアルな佇まいだった。アイドル時代のギラギラとした光を消し去り、静謐で深い味わいを感じさせる演技は、映画界でも極めて高く評価された。歌手としてだけでなく、一人の人間・役者として積み重ねてきた人生の厚みが、その顔つきや所作一つひとつに滲み出ている。