インターネット上の質問サイトやSNS上では、「内科に行ったのに『生活リズムを整えて』と説教されて終わった」「ドラッグストアで睡眠改善薬を買うよう言われた」といった悲痛な声が連日投稿されています。一方で、臨床現場の医師側への取材からは、全く異なる景色が浮かび上がってきます。
東京都内の内科クリニック院長は、診察室での緊迫したやり取りについて次のように証言します。「初診の患者さんから『デパスを30日分出してください』『一番強い睡眠薬をください』と銘柄指定で要求されるケースが増えています。しかし、他院での重複処方やネット転売、アルコールとの併用による昏睡事故のリスクを考慮すると、初診で安易に出すことは絶対にできません。丁寧にお断りして心療内科をご案内すると、激昂してクチコミに低評価を書き込まれてしまうこともあります」。
また、患者側が知っておくべき重大な生活リスクとして、生命保険や住宅ローンの告知義務が挙げられます。民間の生命保険に新規加入する際、過去5年以内の精神科・心療内科への通院歴や、睡眠薬・抗不安薬の処方履歴は厳格な告知事項に該当します。内科で「軽い睡眠薬だから」と安易に処方を受け取った履歴が、将来の団信(団体信用生命保険)の審査落ちにつながるケースも珍しくありません。処方箋一枚の重みを熟知している医師ほど、初診時の処方には慎重な姿勢を崩さないのです。