なぜかっぱ寿司は、これほど絶大な集客力を持つ食べ放題を「常設化」しないのでしょうか。ネット上では「経営難で出し惜しみしている」「客寄せの罠だ」といった極端な憶測も見受けられますが、その背景には外食産業における極めてシビアな「回転率とピークタイムの力学」が存在します。
回転寿司のビジネスモデルは、客席の回転数を高め、短時間で席を空けてもらうことで成立しています。しかし、60分の定額制を導入すると、通常の単品注文客(平均滞在時間30〜40分)に比べて客席滞在時間が確実に長期化します。混雑するディナータイムに食べ放題客で席が埋まると、客単価の上限が固定されたまま新規客を断ることになり、店舗全体の総売上が著しく下落してしまうのです。
そのため、企業としては「平日のアイドルタイム(14時〜17時)の空席を埋める施策」または「アプリ会員の獲得と話題性を高めるPR装置」として運用するのが最も合理的です。食べ放題が神出鬼没である理由は、企業の怠慢ではなく、緻密に計算された歩留まり管理とブランド価値維持の結果であるという視点を持つ必要があります。