一方で、よりパーソナルな個人の語りが威力を発揮するのがYouTubeやTEDといったプラットフォームだ。大掛かりなセットも演出もない。ただマイクの前に立ち、己の失敗談や病との闘い、あるいは人生のブレイクスルーを等身大の言葉で語る。
かつてTEDが見せた「広める価値のあるアイデア」の提示は、今やYouTubeの個人のチャンネルでも日常的に行われている。フィルターのない生の言葉、編集の少ない長尺のインタビュー動画が好まれるのは、視聴者が演出された嘘を見抜き、本物の体験談だけが持つ「歪な熱量」を求めているからに他ならない。語り手と聴衆の距離感は、かつてないほど縮まっている。