山わさびを口に入れた瞬間、思わず涙が出るほどの刺激に驚いた経験を持つ方も少なくありません。この鮮烈な辛味の正体は、アブラナ科植物特有の辛味成分であるアリルイソチオシアネート(からし油)です。
収穫したての山わさびの根の中では、辛味の前駆体である「シニグリン」と分解酵素「ミロシナーゼ」が別々の細胞に分かれて存在しています。すりおろすことで細胞が破壊され、両者が混ざり合うことで初めて強烈な辛味成分が生成されます。この成分は非常に揮発性が高いため、口に含むと一気に気化して鼻の奥を刺激し、「ツンと突き抜ける強烈な辛さ」をもたらします。
強烈な辛味を持つ一方で、山わさびの栄養と効能にも注目が集まっています。主成分のイソチオシアネート類には、強力な抗菌・殺菌作用や抗酸化作用が含まれます。さらに、消化液の分泌を促して食欲を増進させる効果や、血流を促すサポート機能も期待されており、古くから寒冷地を生き抜くための滋養源として親しまれてきた歴史があります。