うつわは使われてこそ活きる。前田祥子の作る器には、日常使いへの細やかな視線が行き届いている。重すぎず、手に収まりやすい厚み。高台の高さや縁の立ち上がりなど、使い勝手を追求した工夫が凝らされている。
和食の煮物を盛り付けても、洋食のパスタやパンを載せても不思議と馴染む。朝の忙しい時間帯に入れる一杯のコーヒー。休日のおやつタイムに添える小さなお菓子。前田の器は、日常の何気ない瞬間にささやかな愛らしさを添えてくれる。
「使う人が自由に楽しめる器でありたい」。彼女の制作哲学は、複雑な芸術理論ではなく、毎日の生活を楽しむ人々の笑顔に向けられている。