日本のビジネスマナーにおいて重要なのが「ウチ(身内・社内)」と「ソト(他社・顧客)」の線引きです。相手から見て自分がどの立ち位置にいるかによって、使うべき敬称が逆転します。
社外の人に対して自社の社員を話題に出す場合、たとえ社長や上司であっても敬称は一切付けません。役職名も敬称ではなく単なる職務上の肩書として扱い、「社長の山田」「営業課長の佐藤」と呼び捨てにするのが基本ルールです。
反対に、社内メンバー同士のやり取りでは、上司に対しては「〇〇部長」または「〇〇さん」と呼びます。近年はフラットな組織風土を取り入れ、社内では役職に関わらず一律で「さん付け」をルール化している企業も増えています。
また、資料や議事録などで目にする「敬称略(けいしょうりゃく)」という表記にも配慮が必要です。名簿や出席者一覧で「様」や「先生」を一人ひとり付けるとスペースを圧迫し、順序による優劣が生じるのを避けるため、一覧の冒頭や末尾に「(順不同・敬称略)」と明記したうえで呼び捨てにするのが慣例です。