1978年の発売から爆発的なブームを巻き起こした宝石箱ですが、1983年頃には店頭から静かに姿を消すことになりました。なぜこれほどの人気商品が、わずか5年ほどの短期間で販売終了に追い込まれたのでしょうか。
その大きな理由は、特殊な製造工程に伴うコスト構造と市場環境の変化にありました。
宝石箱の氷粒は、単なるかき氷ではなく、フルーツの風味と色を均一に閉じ込めた特殊な結晶氷でした。この氷粒をアイスクリームの中に溶かさず、均等に分散させて充填するには専用の高度な製造ラインを維持する必要がありました。ブームが一段落し、販売数が落ち着きを見せ始めると、専用設備の維持コストが採算ラインを圧迫するようになります。
さらに1980年代前半に入ると、アイスクリーム市場は多様化が進み、より手軽なマルチパックや安価なシャーベット類、さらには新たな高価格帯アイスへと消費者の関心が分散。過熱したピンク・レディーのブーム終息も重なり、製造ラインの刷新とともにブランドとしての役目を終える決断が下されました。