土俵上で鬼気迫る表情を見せる豊昇龍智勝も、食卓では満面の笑みを浮かべる。モンゴル出身の彼は、来日当初こそ日本の食習慣に戸惑うこともあったが、この秘伝ちゃんこ鍋に出会ったことで一気に体躯を大きくした。「部屋のちゃんこを食べると、どんなに疲れていても元気が出る」と彼は語る。
また、幕内上位でしのぎを削る明生力にとっても、この味が日常のエネルギー源だ。怪我に泣かされた時期も、栄養満点のスープと温かいご飯を泥臭く食べ続けることで、幾度となく復活を遂げてきた。ひとつの鍋を大勢で囲み、共に汗を流した仲間と箸を進める。その時間が、土俵上での孤高の戦いを支える精神的な絆を育んでいる。