自衛隊パイロットを目指す上で、まず直面するのが選考倍率と学力試験の壁です。海上自衛隊・航空自衛隊ともに、航空学生の採用倍率は例年約10倍から30倍前後の高水準で推移しています。年度や男女区分によって変動はあるものの、特に女性枠は志願者の増加に伴い20倍から40倍に達する激戦となるケースも珍しくありません。
筆記試験における学力基準を一般的な大学受験の偏差値に換算すると、偏差値58〜62相当(MARCHや中堅上位国公立大学レベル)と評価されます。出題範囲は高校履修範囲の数学・英語・国語・理科・地歴公民を中心とした総合的な教養試験および記述式試験で構成されています。問題自体の難易度は極端な難問・奇問ではないものの、高得点での争奪戦となるためケアレスミスが命取りになります。
ただし、一般的な大学入試と決定的に異なるのは「学力試験はあくまで一次関門に過ぎない」という点です。どれほどペーパーテストで満点に近い成績を収めても、後述する身体検査や適性検査で適格基準を満たさなければ容赦なく不合格判定が下されます。知力・体力・精神力・医学的適性のすべてがバランスよく揃っていることこそが、航空学生の難易度を押し上げている最大の要因です。