近年の東京湾岸エリアといえば、天を衝くタワーマンション群が象徴的だった。しかし、あまりに巨大すぎる建物と人工的な環境に疲れを感じ、より人間的なスケール感を求めて移り住んでくる人が後を絶たない。この街の主役は、歩いて回れる商店街であり、顔なじみの店主が声をかけてくれる個人商店だ。
夕方になれば、威勢のいい八百屋の声が響き、総菜屋からはコロッケを揚げるパチパチという音が聞こえてくる。子どもたちが安全に歩ける歩道や、ベビーカーを押しながらでも入りやすいフラットな路地。日常のあらゆる行動が自分の手の届く範囲で完結する心地よさは、巨大複合施設の中をエレベーターで移動する生活では決して得られない温もりを与えてくれる。