では、痛みを我慢してバーベルを上げ続けると、体内で何が起きるのか。答えはシンプルだ。「破壊の上塗り」によるパフォーマンス低下と怪我の誘発である。
第一に、神経系の出力抑制だ。脳は損傷した組織を守るため、その筋肉の発火率(動員される筋繊維の割合)を自動的に低下させる。この状態で100kgのベンチプレスに挑んでも、狙った大胸筋ではなく、肩や三頭筋に過度な負担が逃げてしまう。結果として、狙った部位は育たず、関節を痛める羽目になる。
第二に、中枢神経系(CNS)の疲労蓄積だ。局所の筋肉だけでなく、全身の回復メカニズムが追いつかなくなり、ストレスホルモンであるコルチゾールが常時高値を示すようになる。これでは筋肥大どころか、せっかくついた筋肉が分解される「オーバートレーニング症候群」の罠にハマってしまう。