エポキシ樹脂の起源を辿ると、1930年代のスイスへと行き着く。化学者ピエール・カスタンが義歯床用材料の開発中に、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを反応させて合成に成功したのがすべての始まりだった。ほぼ同時期にアメリカでも研究が進み、この新素材は瞬く間に世界の化学工業界に地殻変動をもたらすこととなる。
熱を加えると再び溶け出してしまう一般的な熱可塑性プラスチックとは根本的に異なる。エポキシが属する熱硬化性樹脂は、硬化プロセスにおいて立体網目状の高分子構造を形成する。一度硬化が完了すれば、激しい温度変化や有機溶剤、水分の侵入にもビクともしない強靭な三次元骨格を維持するのだ。この不退転の強さこそが、過酷な環境下で酷使される構造用接着剤としての地位を決定づけた。