氷点下15度を下回る早朝。太陽の光が斜めに差し込んだ瞬間、空中を舞うミクロの氷結晶がキラキラと光の粒子となって輝き始める。ダイヤモンドダストだ。寒さが極まる限られた条件でしか見られないこの現象は、現地に立った者だけが得られる至高の報酬にほかならない。
オホーツク海沿岸へ目を向けると、視界の果てまで海面を埋め尽くす網走の流氷が、押し寄せる波とともに重厚な音を奏でている。流氷破砕船の船首が氷を割り進む豪快な振動。画面越しに見るネイチャードキュメンタリーすら霞むほどの圧倒的なスケールが、そこにはある。美瑛町の丘陵地帯へ足を踏み入れると、風が創り出した雪紋(シュカブラ)が地平線まで続き、極寒の空気が静寂そのものを凍らせているかのような錯覚すら覚える。