不死川兄弟を語る上で欠かせないのが、実兄である風柱・不死川実弥を演じるレジェンド声優・関智一さんとの関係性です。
アフレコ現場において、大先輩である関智一さんの放つ圧倒的な熱量と迫真の威圧感に対し、岡本さんは真正面からぶつかり合いました。劇中での実弥は、弟の玄弥に対して「テメェみてぇな愚図、弟でもなんでもねェ」と激しく突き放します。この苛烈な拒絶シーンの収録について、岡本さんは後にこう振り返っています。
「関さんの演じる実弥の前に立つと、演技を超えて本能的な恐怖と、それでもすがりつきたいという感情が自然に引き出される。関さんの声の圧に飲み込まれないよう、必死に自分の存在を主張する感覚が、そのまま玄弥の心情とシンクロした」
関智一さんもまた、岡本さんの全身全霊の芝居を真正面から受け止め、ただ冷酷なだけでなく「弟を鬼狩りの戦場から遠ざけ、人として生きてほしい」という実弥の不器用極まりない愛情を声のグラデーションに潜ませました。声優界の師弟にも似たリアルな信頼関係が、不死川兄弟の悲劇的かつ美しいドラマを完成させたのです。