大橋のぞみが芸能界を去ったのは2012年3月31日、小学校卒業と中学校進学を迎えるタイミングでした。所属事務所からの公式発表は「学業に専念するため」という極めてシンプルなものでしたが、その背景には過密を極めたスケジュールと家族の深い苦悩がありました。
2008年の『崖の上のポニョ』大ヒット以降、ドラマ『白い春』への出演、多数のテレビ番組やCM撮影など、小学生の日常とはかけ離れた激務が続きました。関係者の証言によると、撮影現場と学校の往復で宿題をこなすことすら困難な時期があり、本人の心身にかかる負荷は限界近くに達していたとされています。
子役が成長するにつれて直面する「学業との両立問題」や「思春期における自我の形成」を見据え、両親は「普通の少女としての青春時代を過ごさせたい」と強く希望しました。人気絶頂期での引退は芸能ビジネスの観点からは異例の幕引きでしたが、本人の将来の幸福を最優先にした英断であったことは疑いようがありません。