当時のメディア環境は、現在のSNS時代とはまた異なる過酷さをはらんでいた。連日のように自宅前に張り付くカメラマン、容赦ないマイクの向けられ方、そして「年上の女が若者を狂わせた」「売名行為ではないか」という偏見に満ちたバッシング。世間の好奇の目は冷たく、そして執拗だった。
しかし、二人は逃げなかった。山本陽子は毅然とした態度を崩さず、沖田浩之もまた、一人の男性として彼女を守ろうと背伸びを続けた。年上の成熟した女性との出会いは、単なる恋愛を超えて、若き沖田に「本物の表現者とは何か」を問いかける激しい試練でもあったのだ。世間の雑音を振り払うように身を寄せ合った二人の姿には、ある種の切実な孤高感が漂っていた。