『僕のヒーローアカデミア』におけるオール・フォー・ワンは、社会の平和の象徴であるオールマイトと対をなす「悪の象徴」です。他者から「個性を奪い、与える」という絶対的な支配力と、数百年を生き抜いてきた底知れぬ知略を持つ巨悪を演じられる声優は、業界広しといえども極めて限られていました。
制作陣がヒロアカ最大の黒幕に大塚明夫を起用した理由は、まさにその「声だけで世界を制圧できる圧倒的な説得力」にあります。大塚明夫といえば、『メタルギア』シリーズのスネーク役をはじめ、数々の重厚な英雄や渋い漢たちを演じてきたレジェンドです。その深みのある低音ボイスが、平和を揺るがす絶対悪として放たれた瞬間、視聴者が受ける心理的プレッシャーは計り知れないものとなりました。
原作者の堀越耕平氏も、アニメ化に際してオール・フォー・ワンの声が付いたときの恐怖と歓喜を語っており、まさに作品の根幹を支える理想的なキャスティングが実現した瞬間でした。