カッティングの思想を象徴的に表すなら、ファンタジー映画の傑作映画『シザーハンズ』の主人公エドワードの手元を思い浮かべると分かりやすい。縦横無尽にハサミを動かし、彫刻のように一気に形を削り出していくあのダイナミズムは、どこか両者の技術のハイブリッドを思わせる。
実際の理容師の手さばきは「構築的」だ。骨格を正確に捉え、バリカンとハサミを駆使して頭部を立体的な構造体として削り出していく。ベリーショートやフェードカットにおいて、ミリ以下の誤差すら許さない職人技が光る。
対する美容師の手さばきは「流動的」と言える。髪の毛一本一本の重なりやニュアンス、光の当たり方、風になびいたときの表情を計算に入れてハサミを入れる。造形美を追求する理容に対し、雰囲気をデザインする美容。このアプローチの違いが、仕上がりの質感に大きな差を生む。